小児矯正について

歯並びをこどものうちに治すことはなぜ重要なのか?

健康な人生を歩むために必要な疾病の予防は子供のころから始める必要があると考えています。

治療概念

病因

 お子さんの歯並びが悪くなってしまった原因を考えられたことはありますか?

 

 ”うちはお父さんが歯並び悪いから…”

 ”親も私も矯正しているし、顎が小さいのは遺伝かな?”

 ”いつも口が開いているし口呼吸が悪いのかな?”

 

 歯並びが悪くなるのは生まれ持った遺伝なのでしょうか?それとも成長していく環境が影響しているのでしょうか?矯正歯科医のあいだでは昔から議論され、その時代時代で主となる治療概念が生まれました。

 わたしたち歯科医師は治療するにあたってこの原因を常に考察し、治療を求める患者さんに対して自分たちに何ができるかを考えています。


 近年急増しているこどもの顎の成長や噛み合わせの問題は生まれる前からはじまっていると考えられています。遺伝が関与する部分もあると思いますが、多くは母親の胎内での姿勢やそれに伴う圧迫による頭の変形が始まりです。産まれてからも重力の影響を受け、様々な環境にさらされることによってその歪みの影響は大きく複雑化していきます。

 だからこそ問題が複雑化する前の早期の対応が重要になってきます。不正咬合には産まれてから乳歯がはえて、永久歯列になるまでの短い期間にしか解決できない問題がたくさんあります。

 その期間に治療が介入できる不正咬合の原因は呼吸とその姿勢代償、そしてそれに伴う骨格の歪です。本来の機能が発揮できる形態を作ることができれば、成長とともに機能が形態に落とし込まれるという概念です。


呼吸と代償

 呼吸は生物が生命の維持をするために必要な活動です。この活動が何らかの原因で障害される場合に身体は他の機能を犠牲にしてでも維持しようとします(代償)。こどもの場合は姿勢に代償がみられ、その姿勢が身体に刷り込まれると成長の方向性や機能に問題が生じます。またそもそもの呼吸の問題が骨格の歪みから生じることもあるため、まずは生理的な呼吸を確保するための形を作ることが治療として必要となります。


治療方法

RAMPAとは

 RAMPA therapy(ランパ療法)とはRight Angle Maxillary Protraction Appliance(上顎を正しい方向へ牽引する装置)を用いて上顎骨を牽引しながら隣接した骨へ力を伝え、深い部分まで拡大力を伝える治療方法です。

 拡大とともに骨の歪みも開放され、十分な空気が通る気道スペースの確保、歯の並ぶスペースの確保、舌の入るスペースの確保、閉塞してしまっていた鼻や耳につながる孔の拡大、前方頭位の改善とそれに伴う舌骨の位置改善、関連する筋筋膜の異常を改善することが可能とされています。これらの変化の背景には正常な呼吸ができることが重要であり、歯並びの治療を主目的としているわけではなく、本来その子が持っている健康的な形態と機能を取り戻すため治療になります。


治療開始時期

 RAMPAで十分な効果が得られるためには使用時間が重要となります。最低でも12時間以上の装着が必要なため、学校から帰宅した後に睡眠時間も入れて十分な時間がとれることが条件です。当院では5~8歳から始めることをお勧めしています。


治療期間

 RAMPA therapyによる骨格の治療は症例によって変わりますが3~5年です。骨格の治療が終わってからは第二大臼歯(12歳臼歯)がはえて永久歯列のかみ合わせが完成するまで調整しながら経過をみていきます。


予後について

後戻りについて

 RAMPA therapyで歯が並ぶスペースをつくるとなぜ呼吸や姿勢に対してよい影響があるのでしょうか? 

 

歯が並ぶ健康な形態 = 姿勢よく正しい呼吸ができる形態

 

と考えることはできないでしょうか?

 つまり悪い姿勢や呼吸がうまくできない形のまま歯の並びだけを治しても時間がたつと後戻りをしてしまうのです。

 もちろんRAMPA therapyで治療が完結したとしても、そのあとの長い人生を歩んでいく過程で姿勢が悪くなったり、体形が変わったり、運動しなくなったり、虫歯や歯周病になって歯を失ったりすればかみ合わせはまた崩れてしまう可能性があります。

 しかし、わたしたちは子供のうちに獲得した健康は大きな貯金となる考えます。後戻りをしてしまうような負の要素を吹き飛ばせるくらい健康な人生を送れるように応援したいと思います。


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